電車で行こう
集英社みらい文庫
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T3トレインなんでも調査団

電車について、気になるギモンをT3がぜーんぶ調べて報告するよ!

その③・江ノ島電鉄

江ノ電ってしっている?

『電車で行こう』調査団への依頼は来ていますか?
未来ちゃん、どうかな~
じゃあ、今日はこの依頼にしよう!
どれどれ?
神奈川県ペンネーム「海の見える電車が好きっ子」さんからです。
『僕の家の近くには「江ノ島電鉄」という鉄道が走っています。そこで、T3のみんなに来て調査してもらえませんか?』って依頼だよ~
ほほぉ~『江ノ電』の近くに住んでいるなら、私と近所の人だねぇ~
未来ちゃんの家は茅ヶ崎だもんねぇ~
『江ノ島電鉄』は神奈川県の『藤沢』から『鎌倉』までの約10キロを走る私鉄で、『江ノ電』という愛称で親しまれています
じゃあ東海道本線で『藤沢』まで行くか、横須賀線で『鎌倉』まで行ってから『江ノ電』に乗り換えるってことだね
  
江ノ電はかわいい電車が走っているよ!
沿線には江の島や鎌倉大仏といった、たくさんの観光地があるよねぇ
じゃあカメラは絶対に持っていかないとねっ!
じゃあ今回は『江ノ電』を見に行こう~!!
おう―――!!

2.『江ノ島電鉄』へ行くよ!

江ノ島電鉄には『藤沢』から乗れるよ
東海道本線に乗って『藤沢』までやってきました
『藤沢』からどこまで乗るの? 雄太
江ノ電の人とは『極楽寺』駅で待ち合わせしているんだぁ~
『極楽寺』? どうして、そんな駅で?
まぁまぁ~それは行けばわかるから~
『極楽寺』駅の近くには江ノ電の秘密が……
『藤沢』から約25分、『極楽寺』に着いたよぉ~!!
ちなみに『極楽寺』から『鎌倉』方面へ向かうと、すぐに短いトンネルがあるんですが、これは江ノ電ゆいいつのトンネルなんですよ
だから、ここで待ち合わせなの?
それは関係ないんだなぁ~
『極楽寺』駅はとってもレトロな駅なんだよ~
おっと!! この駅舎しぶいねぇ~ シャッターチャンス!! パシャ!!
本当だぁ~ 昔の駅みたいで、とってもかわいい~
『極楽寺』は『関東の駅百選』にも選ばれた名駅だそうですからね
よしっ!! じゃあ、みんなこっちへ行くよ~!!
雄太!! 改札口から出ちゃってどうするのよぉ~?
まぁまぁ ついてきてよ
  
『極楽寺』駅の近くに車両基地があるんだ!!
今日はここを見せてもらうんだぁ~!!
おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
こっ、ここは江ノ電の車両基地じゃありませんか!!
えっ―――!? そんなところまで見せてくれるのぉ―――!!
うん『今回は特別に……』ってことでね
さすが江ノ電さん!! やっさし~い!!

3.江ノ島電鉄の車両基地にきたよ!! 

車両基地は検車区の藪﨑(やぶさき)さんに案内してもらいます
こんにちは!! 今日はよろしくお願いしま~す!!
T3のみんな、今日はゆっくり見ていってね
今日は車両基地内まで見せていただき、ありがとうございます!!
じゃあ、さっそく見てもらおうかな
あれはなにをしているんですか?
電車をきれいにするのは大変だぁ~
こっちの車両は洗車しているところですよ
あれ~電車って……車の洗車機みたいな大きなブラシのついた機械で洗うもんじゃないんですか?
江ノ電では作業員が手洗いでやっているんです
うわぁ~それは大変ですねぇ
でも、おかげですべての車両がピカピカですね
建物の中では電車の整備をしているよ
こうした建物の中で車両の整備をしています。横の階段をのぼれば屋根が見えますし、下へ潜れば床下の機械や車輪をチェックすることができます
整備しやすいように建物が作られているのねぇ~
長い距離を走った車両は、こうした場所でバラバラに解体して、傷んだ部品を交換したり調整したりして整備します
こうした整備をして故障を減らしているんですね
  
近くで見ると大迫力!!
せっかくなので近くから見てください
うわぁ~こうやって見ると車輪って大っきい~
ホームから電車に乗る時は、車輪がいつも見えないもんね
こういうチェックもひとつひとつ手作業で、作業員さんがていねいにやってくださっているんですね
では、次は整備中の車両の中を見てみますか?
ぜひ!!!!

4.整備中の車両内を見せてもらおう~!

取り外した部品がきれいに並べられてるよ
うわぁ~本当にバラバラにして整備してるぅ~
これは江ノ電では初の『VVVFインバーター』を採⽤した『500形』ですね
ぶっぶっぶっ、VVVF?
簡単に言うと、自転車の変速ギアみたいなものです
VVVFインバーターにすると、少エネで整備も簡単なんだって~
なんと運転台に入れてもらったよ!!
うぉぉぉ!! 運転席だ―――!!
江ノ電の運転席は車体の真ん中にあるんですね
あれ? それって珍しいんだっけ?
……未来。普通、運転席は左側によっているだろ?
あっ……言われてみれば確かにそうかも……
これは珍しい『連接台車』の車内部分だよ
うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! あそこが開いている―――!!
雄太……なに盛り上がっているのよ?
だって!! 連接台車のところのフタが開いているんだよ―――!!
2両編成の真ん中の部分ね。たしかに、江ノ電に乗ると、この連結部分がどうなっているのか気になるよね
では、外から見てみましょうか
  
江ノ島電鉄の車両は、みんなこうなっているんだ
江ノ電の車両は2両に3つの台車がついていて、真ん中の台車は2つの車両にまたがるように設置されています。こういう台車のことを『連接台車』というんですよ
こういうのって珍しいの?
普通は1車両に車輪は4つあるから、ガタンゴトンって鳴るでしょ?
だけど連接台車だとガタン…ガタン…って1回ずつ音が鳴るんだ
僕は電車を整備する仕事にとても興味があるんです!!
じゃあ藪﨑さんに、少しお話しを聞いてみようよ!!

5.電車を整備する人になるには?

江ノ島電鉄に入って3年目なんだって
藪﨑さんは小学生のころはどんな感じでしたか?
僕は子供のころから機械が好きでした
電車を整備する人になろうと思ったのは、いつごろですか?
はっきりとは覚えていません。でも、電車が大好きになったのは兄の影響かもしれません。小さいころから、兄といっしょに、バラバラにしたおもちゃや機械を組み立て直して遊んでいました
工具はなくさないようにキレイにおかれているよ
すご~い!! 子供のころから整備の才能があったんだぁ~
小学校のうちは電車が好きで……その後はどうされたんですか?
高校は上野にある『岩倉高校』に進学しました
いいなぁ~! 『岩倉高校』は第3回で取材に行った『昭和鉄道高校』と同じく、「運輸科」では鉄道教育をやっているんですね
車輪のついている台車も外して整備するよ
たくさんある鉄道会社の中から江ノ電をえらばれたのは、どうしてなんですか?
江ノ電には古くて珍しい設備が多くて、そこにひかれたからですね
う~ん、それはわかるなぁ。江ノ電は車両も駅もレトロだけど、すごくかわいかったり、渋くてかっこよかったりするもんね
そうそう!! 江ノ電って撮影スポットだらけって感じだもんね
最後に藪﨑さんが好きな『江ノ電スポット』はどこですか?
  
天気がいいと海の向こうに富士山が見えるよ
そうですねぇ~。『七里ヶ浜』で下車していただいて、海ぞいの道を『鎌倉高校前』まで歩いていただくことでしょうか
海沿いの道とか、とってもキレイそぉ~!!
『江の島、富士山、江ノ電』という眺めが最高ですよ。ちなみに、富士山は空気がすんでいることが多い『冬』のほうが、よく見えると思いますよ
藪﨑さん、今日はありがとうございました~

6.江ノ島電鉄の本社へ行ってきたよ~

今日は車掌の石渡さんが案内してくれたよ
『極楽寺』から『藤沢』方向へ電車に乗って『江ノ島』へやってきたよ。
ここになにかあるの?
ここで車掌の石渡さんと待ち合わせしているんだ!
T3のみんな、こんにちは!!
江ノ島電鉄の本社は『江ノ島』駅近くにあるんだよ~
では、お話しは本社のほうでしましょうか
石渡さんは江ノ電に入ってなん年目ですか?
私は6年目です。車掌になってからは5年目ですね
子供のころから電車が好きだったんですか?
ものごころついたころから、のりものはなんでも好きでしたよ。その中でも車と電車は好きなのりもののツートップでした。専門学校を卒業したとき、自動車のデザイナーと鉄道会社のどちらにするか悩んだのですが、専門的な道をきわめたくて鉄道を選びました
石渡さんは江ノ島電鉄の車掌さんです
それで江ノ電に?
私は横浜で育ち、この近くに親戚もいるので昔からなじみがありましたから。それに江ノ電は観光客が多くて人とのふれあいがあって、車窓から見える景色もすばらしいことにもひかれました
うんうん。江ノ電の車掌さんは気持ちよさそう~
観光客が多い時間に『窓の外に海が見えます』なんてアナウンスをすると、みなさんが一斉に窓の外を見てくれるなんてことも、江ノ電の車掌にしか味わえない楽しさだと思います
  
神社の鳥居の前を電車が走っていくんだ~!!
石渡さんが好きな『江ノ電スポット』はどこですか?
『長谷』と『極楽寺』のあいだにある御霊神社付近は落ち着きがあって、緑のトンネルを通るときなんかは、とても気持ちいいからおすすめですよ
では、最後に鉄道会社へ入りたいみんなにメッセージをお願いします
どんなときも『電車が好き』って気持ちを大事にして、いつまでも好きでいるといいよ

7.なんと!! 運転手にも話が聞けたよ~

稲本さんは運転士をしているんだよ
運転士の稲本さんも話を聞かせてくれるよぉ~
僕が話せることだったら、なんでも聞いてくださいね
よろしくお願いしま~す!!
さっそくですが、稲本さんは入社なん年目ですか?
私は20年くらいになります
にっ、20年!? すごい!!
『江ノ島』駅では上下線の電車が並ぶよ
稲本さんも小学生のころから電車好きだったんですか?
そうですね。近所に電車が走っていたので自然と好きになり、いつも友達と歩道橋の上からながめていました。そして、高校で進路を決める時に「鉄道会社へ行こう」と目指し始めました
やっぱり小学生の時から電車が好きってことは、大事ってことだね!
時間が合えば海に落ちる夕日が見られるよ
運転士として楽しいことはなんですか?
電車に向かって子供たちが手を振ってくれることですね
うわぁ~運転士さん喜んでくれているんだぁ。私、江ノ電の電車には、これからも絶対に手を振ります!!
江ノ電のこういう、のんびりした雰囲気や、あまり機械を使わずに作業を人の手でやるところが好きなんです
  
江ノ島電鉄の人は、みんなやさしかったよ
最後に『電車で行こう!』を読んでいる小学生のみんなに、『どうしたら運転士になれるか?』アドバイスをもらえますか?
そうですね。とにかく『元気よく、友達となかよく』ね。その理由は……
鉄道という仕事は、協力し合わないとできない仕事も多いから、チームワークがとても大事になるからね
『元気よく、友達となかよく』ですね!! それなら僕でもがんばれます!!
今日は本当にありがとうございました
 
養老鉄道株式会社
 

神奈川県藤沢市片瀬海岸一丁目4番7号
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